第82章

実のところ、手の込んだ作戦なんて要らなかった。風角獐という魔獣は、普通の動物の親戚と同じで臆病だ。ちょっとした物音や気配だけでさっと逃げる。しかも足が速い。本気で走られたら、追いつける者などまずいない。

だから狙いは一頭に絞る。初撃からその個体だけを叩く。他の風角獐が危険を察して逃げてくれるなら、むしろ好都合――余計な混戦を避けられる。

もちろん、同じ群れだから仲間を助けようと残る可能性もゼロではない。だが、その線は薄い。

ユゴスは仲間を所定の位置に伏せさせ、自分も剣の柄を握り直した。騎士としては騎乗がない分だけ本領を出しづらいが、彼の剣技はそれでも十分に冴えている。隊の中で、見た目の...

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